じゅんばん。

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 残念ながら僕は盗みたいほど欲しいものもないし、女の人を襲おうにもすぐその気が萎えるから不可能だ。じゃあ、一番わかりやすくて罪深い行為は何か?――人を、たくさん殺せばいい。  特に仏教だと、お坊さんを殺すのは非常に重い罪――だったような気がするので。僕は思い立ったら吉日で、とある山奥のお寺の場所を調べて行き、夜まで待って――お坊さん達を次々と包丁で切り殺してみせたのである。  寝込みを襲ったのは発覚を送らせるため、成功率を上げるためもあるが――苦しまずに死なせるためでもあった。言っておくけど被害者のためじゃない。苦しむ顔を見るとやる気をなくすので、なるべく苦しませないで殺していく必要があったのである。  山奥の、とても小さなお寺。住み込みの住職さん達と職員さん達が数人しかいなかったので、殺害はそうそう難しいことじゃなかった。僕は全員を殺して回った。そして、まだ時間があるのを悟ると殺した全員の死体を可能な限り切り刻んで回ったのだった。日が昇り、誰かが参拝に来るまでの間だったのであまり細かくする時間はなかったけれど。  事件は大々的に報道された。目撃者は誰もいなかったはずだ。  それでも、現実の警察は探偵ドラマのように無能じゃない。いずれ僕が犯人だということに気がつくだろう。  僕は捕まるわけにはいかなかった。できる限りたくさん殺して、最後は自殺しなければ意味がないのだ。  キリスト教なら、自殺は罪になったはず。仏教ではどうだか知らないけれど、それもうまくいけば罪としてカウントしてくれるかもしれない。いずれにせよ、逮捕されてしまったら僕は自分で死ぬ方法を取り上げられてしまうことだろう。  僕は田舎の、人が少ない集落や民家を狙って人を殺して回った。  小さな子供ほど念入りにバラバラにした。その方がきっと、罪が重くなるような気がしたから。  何十人?何百人?どれほど殺したかもわからないけれど――そろそろいいかな、と思った僕は高い崖の上から身を投げて死ぬことにしたのである。いろんな死に方を考えたけど、やはり全身をぐちゃぐちゃに潰されて死ぬのが一番楽しそうだという結論に達したのだ。できれば即死でありませんように――それが、僕が現世で思った最期の思考である。
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