じゅんばん。

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 さっきから、命乞いをする声やら断末魔の悲鳴やら、それでも自分は悪くないと開き直る声やら。  混ざりあう声という声の不協和音と、肉が潰れ骨が砕ける音が混じって壮大な音楽を奏でている。どうやら腕を一本ずつ切られる奴や、足の裏からじりじり炎で焼かれる奴や、いろんな刑罰の種類があるらしい。  地獄に堕ちるほどの罪を持った奴がこんなにいるなんて、世も末だと自分を棚上げして思う。しかし、僕がやったことはこの中でも相当酷いレベルになると思うのだが――なんで、僕の順番が一番最初でないのだろう。こんなの、延々と聞かされても見させられても退屈なだけだというのに。 ――あーあ。早く来ないかな僕の番。地獄のスタッフさん達は、僕にどんな罰を用意してくれてるんだろう。  一向に縮まらない列を見ながら、僕は最高の快楽を待っている。  この地獄の底で、待っている。
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