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3. 往路
あーあ、何だかお子ちゃまがイキがっちゃって、まあー
こいつ…ビビってら。
がっかり。ここらでは見ない、白の格好いいアウター着てるなって、思ったのに。
さすが俺。まだまだ捨てたもんじゃない。
同じくらいの年齢かなあ。ネクタイとか似合わなさそう。
ん? なんかよく見ると…こいつ見た目はそんなにワルかない。
あれ? フードの色だけが真っ赤? ふーん、ワルそうだけれど野性味は悪くない。
染めまくって銀髪、普通の会社づとめとは思えねぇ。
こんな田舎で、まさかの出逢い?って薄い期待。
何だか変な黒い棒みたいなヤツ、持ってる…
でも夢と桜はすぐに散るもの。所詮、男なんてガキだ。以上(ぷぃ!)
俺とタメか…少し上ぐらいかもしれない。あっ!
…
俺の全神経を集中したガンを、完全に無視しやがった!
思い出しちゃった。馬鹿みたいに男に狂った、あの頃。
そうだ。こいつも「女」だった。俺の人生を狂わせた…
結局駆け落ちまでしちゃって…でも最後はあっけなかったな。
同棲して、楽しかったのは三ヶ月だけ。
すぐに別の彼女ができて…
すぐに男がやってきて…
私なんて居なかったみたいに、捨てられた。
ボコスカ殴られて、ゴミ捨て場に捨てられた。
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