国の中枢、都へ

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俺は籠から非常食にもってきた干した肉を奴隷のところに持ってきた。 良く寝ている 「おい。」 「ん?ひぃぃぃっ。」 「起こしてすまない。これを。」 隣の男を必死に起こす。 「これを。」 「に、肉だ!」 「静かに。早く食べてしまえ。」 必死に食べている。 「エンヤヒコ!」 遠くの穴から声がする。 「すまない。行く。」 「ありがてぇ、ありがてぇ。」 「ありがとうございます。」 俺は笑って穴まで走った。 「ミサギ!」 「良かった。驚かせるな。」 「まずかったか?」 「逃げるヒコもいる。」 「俺は逃げません。はい、ミサギ。これ取りに行ってた。」 「うほ~。いいの?」 「あと六つの朝が来れば都。非常食は要らない。」 「そんじゃ、ありがたく。」 「今、食べないのか?」 「もう、月があの位置だ。明日にとっとくよ。」 朝が来て、交代で籠をもつ。 「良く眠れたか?」 「エンヤヒコ。」 「はい!」 「奴隷と口を利くことを禁ずる。」 「は、はい・・・。」 無言が続く。 「エンヤヒコ。」 「はい!」 「お前の本当の名は?」 「エンヤです。」 「そうか。部落の名をつけられたか。献上する為に。」 「どういうことです?」 「いや、なんでもない。」 ガサガサガサっ 「ひぃぃっ!山賊だ!」 「エンヤ!乗れ!」 「馬を狙え!」 「させるか!」 「ん?」 「奴隷たち。」 奴隷が庇う主人。 その光景に山賊達が戸惑う。 その間にエンヤは跨った。 「エンヤ様、お世話になりました!行ってください!はやくっ!」 「最後に幸せでやんした!ここは俺たちが壁になります!どうぞ都までご無事に!!」 「ハッ!」 馬が走る。 山賊が我に返る。 「追え!」 パカラッ、パカラッ、パカラッ。 「二人ともにげろーーーーーー!!!」 俺は叫んだが、山賊を止める二人。 涙が溢れた。 俺とそんなに歳が変わらない。 直ぐに見えなくなってしまった。
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