国の中枢、都へ

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「エンヤ、堪えるんだ。」 「でも!でも!」 「一気に駆け抜ける。」 「二人が!!」 「二人の為にもお前を都に必ず連れて行く!!泣くな!」 途中、途中、馬を休ませながら行く。 この馬が頼りだ。 夜が来た。 「大丈夫だ。この先で仲間と合流する。どうしたものか。」 「ミサギ?」 「まだ、馬に乗れるか?」 「大丈夫。」 「先を急ぐ。」 「うん。」 馬を走らせて朝陽が昇ると海だった。 「なんだ、このデッカイ水たまり!」 「海という。はぁ、先に着いてしまったな。馬からは合流するまで降りない。」 「うん。」 「二人の事は忘れろ。」 「無理だって!」 「情が移るような事をするからだ。都では絶対にしないように。」 そのまま夕暮れ時になってしまった。 「来た。」 「ミサギ、籠は?ヒコは?」 「なに、山賊にあって身ぐるみ剥がされて来たところよ。」 ここで休むことになった。 「援軍を呼ぼう。」 「それがいいと思う。」 もうひとりの使いが鳥を飛ばす。 「オオナムチウミシロヒコ。外に出ていいぞ。」 「はい。」 声が高い。 見るとそこは俺と全く違う男だった。 女のような顔、髪は顔の横で結っているのではなく、頭の上で結ってある。 「お前、本当に男か?」 「な、なんて格好してるんだ!」 「ん?」 「(ぼ、ボコボコの腹、厚い胸板、下半身がやばい。すげぇ逸物・・・完全に雄だ)名前は?」 「エンヤヒコ。よろしくな。」 「エンヤ・・・同じ出雲か。という事は・・・はぁ。」 額に手を当てて悩んでしまった。 「どうした?」 「俺はオオナムチウミシロヒコ。お前と同室になるものだ。」 「なぜ落ち込む?」 「聞いていないのか?同室の者とは毎日、契りの練習をする。だから・・・お前のモノが俺の中に入ると思うと・・・。」 「ち、契り?!」 「何も聞かされていないのか?」 「うん。」 「同室の者とは毎日、行動を共にする。炊事、洗濯、訓練。連帯責任だ。」 「連帯責任?」 良くわからないけど、聞けば聞くほど、このヒコは悩む。 「ナムチ、大丈夫か?」 「ナムチ?」 「長いだろ?分かりやすくナムチ。よろしく。」 「まぁ、いい。服を着ろ。」 「ない。」 また悩み始めたナムチだった。
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