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色鮮やかな織物を着て、迎えを待つ。
早朝。まだ薄暗い。
追放と同じ形で門を潜る事になった。
「おじい・・・。」
なんども振り返る。
途方に暮れる。
迎とやらはいつ来るのか。
「エンヤ―!」
「チム!」
「エンヤ。ま、間に合った。」
「チム、なんできた!ひどい目に遭うぞ!」
「話は聞いた。もう、ここには戻ってこれないんだな。」
「チムは・・・お前は俺の誇りだ。強くなれる。」
チムの頭を掴み、叫んでいた。
「エヒコ!」
「チム・・・。」
「強くなるから、ここを守るから!」
「オトヒコ、ああ。あとは頼んだぞ。」
「オトヒコって・・・。」
「俺がエヒコならお前はオトヒコだ。そうだろう?さぁ、オトヒコ、見つからないうちに戻るんだ。」
「これ、もってけ!」
「勾玉?」
「気を込めた。俺んとこの系譜なら、何かできる。きっと何かの役に立つ。もってけ。」
「大切にする。」
チムを腕で強く引き寄せ抱き合い、頭を撫でてやった。
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