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全く異なる気もするが、魂も空間に似たようなものなので、否定はしない。
「皮がついていれば、十二村さんも読みそうだよね」
この古墳には、他とは異なる部分がある。他の古墳が埴輪などで囲まれていたのに対し、ここでは実際の人を埋めていた。殉死なのかもしれないが、殺されていた可能性も高い。その中に、古墳を作った人が含まれているのだ。
「何かを埋めたので、秘密を守る為に、殺されてしまった」
人は進化しているが、人になってからは思考にも知能にも、大きな差はない。だから、古代だと思っても、現在に当てはめて考えても、そう間違っていない。
「……甲斐さんを呼ぼうかな……」
殉死は、殺されたのか検死して欲しい。
「甲斐さんは、日々、ミイラ化していますからね……動けるのでしょうか」
織田の完全私界の中では生活できているので、どうにかなるだろう。
話し込んでしまい、すっかり深夜になってしまった。ベッドに寝ようかとすると、新悟に追い出されてしまった。
「兄さんは、松下さんの部屋でいいですよ。俺は、まだ調べたい事があるのです。兄さんは邪魔ですよ」
新悟は、成果をあげないと、俺に近付いただけで警告が出てしまうらしい。
「……近くにいたら、手を出して、消滅してしまいそうです……」
新悟が弱音も言うので、仕方なく自分のベッドで眠る事は諦めた。
「仕方がない……」
俺はリビングに毛布を持ち込んで、転がろうとした。すると、松下がドアを開けて、じっと見ていた。
「……市来君、そこで眠るの?運ぶのも大変なので、最初からこっちに来て眠らないかな……」
そのまま放置していて欲しいと思うが、やはり仕方なく移動しておく。
「新悟君と緊迫した話しをしていたけど、状況が悪いの?」
松下は仕事をしていたらしく、パソコンの電源が入っていた。俺がパソコンを見ようとすると、そのまま閉じられていた。
「松下さん……仕事もいいですけど、少し休暇も必要ですよ」
松下は、俺を抱き上げるとベッドへと運ぶ。しかし、話す言葉は、別の意味で深刻であった。
「死保にスパイというのか、裏切り者がいますね……死保の情報が流れています」
俺は返事をしかけて、止めてしまった。そういう情報に関しては、寒河江がチェックしている。
「松下さん、死保の裏切り者は、どんな情報を流しているのですか?」
松下を疑うわけではないが、死保に重要な情報など無いだろう。
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