第十七章 夜は静かに嘘をつく 二

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 ゴリラということは、画面に木積がいるのだろう。 「確かに、こういうのも好きな女子は多いけどさ、ビジュアル重視で頼む。ゴリラはNGだ」  中村の文句からして、動画の内容は分かった。久住と木積の様子を、動画で流しているのだろう。 「寒河江、久住さんがどうしたの?」 『特殊能力者は、何か欠けているでしょう。中村さんの味覚のように……織田さんも色が分からないし……久住さんは何か欠けているのでしょうか?』  ベッドでいちゃついている映像で、何が欠けているのか分かるのだろうか。だが寒河江によると、ファイルになっていたが、繋がっているのはリアルタイムの映像らしい。すると、場所を変えながら、まだ寝ているということだ。 「見れば分かるだろう。この男には、相手が読めるから、相手の心が分からない。こうやって、相手を読めない状況にすると、かなりパニくるだろう?」  久住は能力を使うと、暫くは制御できずに記憶を読み続けるので、読めない状況にしないと眠れない。それは、それでいいのだが、中村によると心に欠けがあるらしい。     
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