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「メニューがワンパターンになってしまうでしょ」
玉子も厚焼きにすると、卵寿司のように握っておいた。でも、これでサンドイッチもいいかと、松下の弁当にしておく。
「そうですね……たまには、和食もいいですね」
でも、俺の作る和食は不評なのだ。
「たまには、チャーハンを作るかな……」
雑魚と搾菜チャーハンを作ると、朝食にする。
「松下さん、朝食です」
さっくりと朝食をとると、松下を見送り、桜本と合流する準備を始める。
「出発しますか……」
差し入れも持ったので、昼までには到着したい。
車に乗り込むと、明海が後部座席で眠っていた。
「明海、桜本さんと合流するよ」
『知っている。早く出発しろ』
車を走らせていると、新悟は一ノ瀬からも連絡を受けていた。
「一ノ瀬さんは、中村さんに説明も終わったので、五人町に行くそうです」
そういえば、競馬で勝ってしまった金があるので、途中で鰻も仕入れてゆこう。死保に戻ってしまえば、食べるという事も無いので、現世にいる時は食べたいものを食べておきたい。
「中村さんは、仕事を幾つか受けていて、まあ、身体の関係を持ちに行っているそうですよ……」
仕事だと割り切って寝るということは、俺には出来ない。中村は凄いと思う反面、どこかで軽蔑してしまっている気がする。
「兄さん、中村さんは沢山の情報を得る事で、より正確な未来を見る事が出来るのですよ……その情報を売って生計をたてている」
中村は仕事で寝ているのだ。
「でもさ、方法がな……」
信号で止まったので、ハンドルにしがみ付いてしまった。
「一体化して、自分の未来を感じるように、相手の未来を見るのだそうです」
方法は理解したのだが、心が納得していないだけだ。
一般道を走っていると疲れるので、高速道路にのると、一気に加速する。車の性能がいいので、加速が楽しい。快適に運転していると、新悟の携帯電話に中村から電話が入っていた。
「後十分後に事故が発生するそうですので、高速を降りましょう」
今は空いている高速道路であったが、事故が発生して渋滞になるらしい。
「中村さんと寝ていると、未来が分かるわけだよね」
新悟が中村と寝ていると、嫌味を言いながらも、高速を降りて下道にした。
「……そうかもしれません。でも、こうして、兄さんを危機から救えるので、効果はあるのでしょう」
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