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「その通り。僕は商売には向いてないから組織で仕事をしているけど、ここで暮らすためにみんな色んなことをしている。それにここは別の空間とも繋がりやすいから、ものの仕入もしやすいんだって」
組織、と聞いて兄の顔を思い浮かべた。途端にざわざわと落ち着かない気持ちがぶり返す。
「……兄も、ここに来ていたんですか?」
すると何か気付いた様子で、リウはちょっと間を置いた。
「トーヤもよく来ていたよ。組織はもちろんだけど、僕等は気が合ったから。それに家のこともあったし」
あのね、とリウは困ったような表情をして、
「君の家に突然訪ねたのはびっくりさせたよね、ごめん。トーヤを見つけたい気持ちは本当だし、君のお兄さんには悪いけど、僕は君の力も貸してもらえたら嬉しい」
「……わたしにできることがあるの?」
一週間探す方法もわからず、ただ日常を過ごすことしかできなかった自分に。何かできるというなら、なんだってしようというという気持ちが湧いてくる。ただ、兄に悪いというのは……と考えたところで、先程ミユが消えた扉から明るい声が入ってきた。
「わあ、本当に連れて来たんですね!」
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