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「あの……わかるようにはなってきたと思うのだけれど、ツァウベルって……」
「ツァウベルとは魔法そのものだ」
それは以前、兄にも聞いた。兄と同じことを言うミユに苦笑して、これにはリウが答えてくれる。
「ツァウベルがなんなのか、っていうのは、僕等みんながずっと考えてきて、ずっと答えの出ない問いかけだよ。人の素質に対する好みがあるから生き物じゃないかとか、磁石とそれにくっつくものがあるように、ただツァウベルというものであって人に付着しているだけじゃないかとか、色々言われてはいるんだ。ただ誰も本当のところはわからないから一番実感するところで、魔法そのもの、っていうのが座りがいいんだよ」
なるほど、と言って済ませるほかどうしようもない事柄だ。
頭の中で整理していると、これから自分自身で体感でわかるようになる、と言ってミユは彼のスープの皿をとんとんと人差し指で示してみせた。一瞬なんだろうと思ったが、自分のスープの皿を覗いて、ほとんど減っていないのだと気づく。ようやく一口食べてみて、
「おいしい……」
普段自分が作るより味が濃い。中に入っている、赤いキュウリのようなものはなんだろう。ちょっと苦みがある。
それからわたしは黙々と料理を平らげた。久しぶりにまともに食べた気がする。先に食べ終わった彼等の話を聞きながら、リウと二人だけのときに彼が言った言葉について考えていた。
魔女であるわたしにできて、彼がしてほしい助けとはなんだろう。
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