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目については毎日鏡を見ていたから知っていた。今時ダブルなんて珍しくもないので取り立てて気にされることもない。でも髪の色は、桜色と言ってはくれても要はピンク色なので、ちょっと……。
「……派手じゃない?」
「落ち着いてて綺麗だよ。いつもの黒髪でいることを自分でコントロールできれば問題ないし」
「一応聞くけど、どうして桜色になるの……?」
「それはツァウベルの影響だね。ただ影響の仕方もどうしてそうなるのかもわからない」
ツァウベルの影響。ツァウベルは魔法を使うために必要な要素で、魔法そのもの、だったはず。わたしは兄のように普段から魔法使いとして過ごしているわけではないので、教えてもらった知識でなんとなく理解するしかない。わたしはこれからその魔法使いの域に足を踏み入れようとしているわけだけれど。
「大丈夫、とても綺麗だよ」
微笑む兄の瞳はわたしと同じ翡翠の色。彼の髪の色は亜麻色で、母と同じ色をしていた。
兄は上着のポケットから鍵を取り出してガチャリと音を立てて開けると、それをわたしに差し出す。
「今日から広夜が持っていて」
頷いて受け取るのを見届けてから扉を開けた。
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