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捕まえたそれはふわりと身を空中に浮かせていた。人の形をしているが、リーヴェルと同じ魔女でもなければ、魔法使いでも魔術師でもない。淡く白い光を纏った、薄っすら向こう側が透けるぼんやりとした存在。顔立ちがなんとなくわかるようで、目を離したらすぐに忘れてしまいそうな儚さが感じられる。
「あんまり触れない方がいいわ」
「悪いものだから?」
「……ええ、そう」
白い影は目を伏せた。リーヴェルは意に介さず、
「まあ悪いものでわたしに害をなしたとして、それで恨んだりしないわ。だったわたしが自分で決めて自分でしていることだもの」
「……あなた大事な人がいるんでしょう? 悲しませたくないって思わないの?」
「あなたって優しいわねえ」
まじまじと見つめられて、影は一瞬身を引いた。手首を掴まれているので逃げられないのだが。
「あなたはどうしてそんな姿なの? ツァウベルを使わない人たちは幽霊を信じているようだけれど、そういった存在? それともあなたがツァウベル?」
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