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野菜も肉も茸も全部焼いて塩と胡椒で味付けしたらしきものを取り分けて、あとは昨晩の残りのスープ、今朝買ったばかりだというパン。十分おいしいし満足だった。
「……ごめんなさい、何もしていなくて……」
ほんのり甘みのある赤いスープがとてもおいしい。煮込んだ野菜がとろとろにほぐれている。
「本当に気にしないでください。ここにはよく寝泊まりにいらっしゃる方がいるので慣れてますし。ね、リウさん」
「ああうん、そうだね、僕もそうだしね、うん」
リウは自分の家もあると言っていたが、なぜここにわざわざ来ているのだろうか。不思議だった。
「そうですねえ……どうしても気にされるようでしたら、コーヒー豆をお持ちいただけると嬉しいです。ミユさんがよく飲むんですが、最近になって初めて味を気にしだしたようなので」
コーヒーはこちらでも共通なのか。昨日ラグノットのところで出されたお茶も、もしかしたら紅茶と呼んで良いものなのかもしれない。
「こだわりでも出てきたの?」
「味に飽きただけだと思うんですけど……色々試してみたいそうです」
それなら今度買ってこようと頭に留め置いた。本当にそれだけでいいのかという気持ちもあるけれど、もっと気を遣わせてしまうかもしれない。でもミユだけじゃなくて、
「チェルニーは?」
「え?」
きょとんとした顔で彼女はこちらを向く。
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