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チェルニーに手を握られる。彼女はとても申し訳なさそうに、そして気遣わしげに眉尻を下げて見つめてきて、それが煩わしくて視線を外すと、却ってそうした自分が恥ずかしくなって少し冷静になった。
兄は無事なのだ。今すぐここにはいないけれど。きっと一番冷静に判断できるミユが先に呼ばれた。……それでもわたしが兄の唯一の肉親なのになぜ? と疑問と怒りは収まらない。
それでずっと目を向けないようにしていた想像を、
「わたし……兄さんまでいなくなったらって、ずっと、」
ずっとずっと、死んでしまっていたらと、最悪の結果を考えてしまいそうになっていたのだ。
夢のことを思い出す。今ここにあの人がいてくれたら。
リウがもう一度「落ち着いて広夜ちゃん」と声を掛ける。
「ミユが連絡をくれたら会いにいけるから。ちょっと今ややこしいことが起きたみたいで」
「……なんなのそれ」
「そうだね、先に話しておこう。その前にまだご飯は食べられそう?」
「いらないわ」
あ、と思い直して、
「そういう気分じゃなくなっただけ……ごめんなさい」
いいよ、とリウは微笑む。
「少しでも食べられるときがあるならいいさ」
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