Ⅲ 魔女の夢と図書館の竜

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 チェルニーに手を握られる。彼女はとても申し訳なさそうに、そして気遣わしげに眉尻を下げて見つめてきて、それが煩わしくて視線を外すと、却ってそうした自分が恥ずかしくなって少し冷静になった。  兄は無事なのだ。今すぐここにはいないけれど。きっと一番冷静に判断できるミユが先に呼ばれた。……それでもわたしが兄の唯一の肉親なのになぜ? と疑問と怒りは収まらない。 それでずっと目を向けないようにしていた想像を、 「わたし……兄さんまでいなくなったらって、ずっと、」  ずっとずっと、死んでしまっていたらと、最悪の結果を考えてしまいそうになっていたのだ。  夢のことを思い出す。今ここにあの人がいてくれたら。  リウがもう一度「落ち着いて広夜ちゃん」と声を掛ける。 「ミユが連絡をくれたら会いにいけるから。ちょっと今ややこしいことが起きたみたいで」 「……なんなのそれ」 「そうだね、先に話しておこう。その前にまだご飯は食べられそう?」 「いらないわ」  あ、と思い直して、 「そういう気分じゃなくなっただけ……ごめんなさい」  いいよ、とリウは微笑む。 「少しでも食べられるときがあるならいいさ」     
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