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チェルニーがそれならお茶を淹れようと席を立つ。申し訳ない気持ちが徐々に積み重なっていく。リウはまだ料理の残った皿をテーブルの端に除けて、あとでパンに挟んで食べようかなと呟いた。
温かい香りが部屋に届くと、チェルニーはトレーの上にポットとティーカップを三つ載せて戻って来た。お礼を言うと、にっこりと笑ってチェルニーも椅子に座った。
「ミユとは時折連絡を取りながらいるんだけど、さっきから途切れてるんだよね」
「連絡って、どうやって」
「これ」
リウは頬に掛かる髪をのけて、自分の左耳を見せる。小指の爪より小さな紫の石が付いていた。彼の瞳の色に似た色だなと気づいて、そうだ兄ならリウの瞳を紫水晶とかに喩えるんだろうなと思った。
「僕等二人の間で意思の疎通ができるようになってるの。ツァウベルの性質が似ているから共鳴させている感じかなあ……」
まあたまたまできたんだけどね、と付け加える。
「こういうの魔鉱石っていうんだけど、組織の建物にあった灯りとか、僕の使う水晶もそうだね。自分のツァウベルを注いで使うんだ」
それより早く今の状況が知りたくて、顔に出てしまったのかリウが「聞きたいのはこういうことじゃないよね、ごめん」と苦笑した。
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