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「まずトーヤだけど、ヨラがコーヤちゃんたちの家を確認しに行ったときに、庭に倒れていたのを見つけたみたいだ」
「庭に……?」
「そう。それでとりあえず組織に運んで、かすり傷だとかの小さい傷を治して寝かせてたんだ。で、今朝ミユがその様子を見に行ったんだ。大きな怪我はなくて、眠っているだけだった。だからすぐにコーヤちゃんを連れていこうと思っていたんだよ、僕は。でも、ミユが」
何かおかしいって言うんだよ……と、リウが途中で言葉を切らせて黙った。部屋に沈黙が下りる。チェルニーが心配そうにリウの顔を覗き込んだ。
「リウさん?」
「逃げよう」
なぜ? 疑問を告げる前にチェルニーがわたしの手を掴んで立ち上がらせる。
「ミユさんからですか?」
「別の場所に行けって」
チェルニーに手を引かれるまま、部屋の扉の前に行く。玄関の呼び鈴が鳴った。けれど二人はそれを無視して、どこに扉を繋げるか話している。再度呼び鈴が鳴る。
「じゃあ館長のところで」
「そうですね。あそこなら何かあってもなんとかなるでしょうから」
目的地が決まったらしく、チェルニーが開いた手で真鍮のノブを二回指先で叩く。
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