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Ⅱ 桜色の魔女が二人
部屋の家具は兄によって、動いたらもとの場所に戻るという便利な魔法が掛かっている。なので砕けた食器や壊れた椅子の脚を片付けながら、段々気持ちが落ち着き始めると考えずにはいられないこと――どう考えても怪物が突如出現した家に一人でいるなんてできない。無理だ。
それを秋月さんに伝えると、まあそうよね、と彼女は納得してくれた。
「じゃあリウのとこは?」
というのはさすがに予想外だった。
「あのさアキヅキちゃん、」
「だったわたしの家、弟子と精霊で狭いんだもの」
「……ミユに聞いてくるよ」
「あんた自分の家あったじゃない」
「あーあーあーほんとアキヅキちゃんそういうとこどうにかしたほうがいいよ!」
リウが不機嫌な顔で言うのも素知らぬ顔をして、秋月さんは組織に報告があるからと帰ってしまった。何かあったら呼ぶように言い残していったけれど、呼ぼうにも手段がわからない。
「体良く逃げられたな」
リウがぽつりと呟く。そういえば彼は、サリタについて聞きたがっていた。
「……サリタって、どういう人なの?」
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