第一章 夜は静かに笑う

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「退院したけど、タクシー会社をクビになった……」  現在、行方不明と最後に書かれていた。 「……探せるのかな」  期間は半年になっていてやや長いのは、行方不明からの捜査になるかららしい。 「まあ、仕事を受けたのだから、橘保険事務所に行こうか……」  どうして、倉田はこの仕事を選んだのだろう。 「倉田さん、どうして、この久住さんを探す気になったのですか?」  倉田は暫し動かなかったが、ノートに返事を書き始めた。 『久住君の抱えた孤独を、きっと死保は理解できる』  久住の抱えた孤独は、確かに少し理解できる。 久住は、何かの能力を持っているが、上手く使えていないのだ。 それは、このメンバーと同じであった。 『久住君の魂を救えるのは、死保しかないよ』
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