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「君は自然のままでいいのさ」
少年は人の流れを見ている。じっと見つめてる。
私はまじまじと少年の顔を見つめた。だんだん真意は測りかねている。少年に興味はあるし好奇心でワクワクしているけれど、ホントつかみどころがない。
冬の街、青い空、人の流れ、消火栓の上に少年。待ちぼうけの私。
友達が来たのはそんな時だった。
私はわりとあっさりと少年に、またね。と告げた。
少年はこちらを笑顔で見て、無言で手を振った。
私が友人と遊んだ帰り、火災に遭遇した。ビルの3階くらいのベランダから火を吹いている。野次馬が幾重にも積み重なって、私たちも野次馬の1部になって様子をみた。
少年の座っていた消火栓にホースが繋がって消火活動に使われて、消防隊員が激しく走り回っている。
私は消火栓の上で人を待っている少年はどこへ消えたのだろうと思っているのですが、もしかしたら、あの少年は存在しなかったかもしれない。
ホントは人を待っていたのではなく、火災を待っていたのではないだろうか。
あの笑顔は、炎を待つイタズラの笑顔だったのかもしれない。
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