第1話 処女の憂い

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「自分の誕生日など祝って欲しくない」 高山桃子は声を大にして叫びたかった 誕生日を心待ちにしていたのは 小さな子供の頃の話で 12月1日の今日を持って28歳になってしまった 今は誕生日など決してめでたいことでもなんでもない できれば避けたいと思っていたこの日が ついに来てしまった 「おめでとう桃子!」 「桃子先輩おめでとうございます」 第二病棟の外科ナースチームは 同僚だろうと先輩後輩だろうと関係なく アットホームで地元仲間や同期の ナース達が多くとりわけ仲良しの 集まりなのが特徴だった その仲の良さは月一のナース食事会や カラオケ大会など毎回誘えば誘っただけ 参加するといった不参加率が極めて低いもので 特にみんなに好かれている本日の チームメンバー内の桃子の誕生日会は 他の病棟の看護師も入り混じって 居酒屋の座敷はナースでごったがえしていた いつもは桃子もナース達と 飲むのは大好きで毎回楽しんでいるのだが しかし自分が主役の今回は とてもじゃないが素直には喜べない気分だった
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