第1話 処女の憂い

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「いつからか」 とか 「隅に置けない」 と先輩ナースや同僚の野次を真っ赤に なりながらでも嬉しそうに受けている 麻紀を見つめながら これでみんなの興味が自分から逸れた事に 桃子は内心ホッとしていた そこに早苗が熱燗を持って 桃子の隣に座った 「楽しんでる?」 「ええもちろん!」 早苗は桃子にお酌しながら言った 「何もこんな時に言う事ではないのにね 麻紀も気がきかないわ         」 桃子も早苗に酌を返して言った   「でも   盛り上がってるからいいじゃない 実際あたしの誕生日なんかどうでも良い事だし こっちの方がよっぽどおめでたいわ  」 この早苗とは今の病院に新人で 勤務を始めた頃からの同期で親友だ 彼女には何でも話せた 早苗は2年ほど前に幼馴染みと結婚し 今は看護婦の間でも婦長候補とみんなから 慕われていた それに比べて自分は看護婦の中でも 桃子は正看護婦の指示を貰って 患者の世話をする准看護師だった 早苗に比べると ただ働いている年数が長いだけの あまりキャリアには繋がらないものだった しかし何の責任もなく給料もシフトも  それなりに満足していたため なんとなく最近ではズルズル 月日が流れていくだけだった
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