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「いつからか」
とか
「隅に置けない」
と先輩ナースや同僚の野次を真っ赤に
なりながらでも嬉しそうに受けている
麻紀を見つめながら
これでみんなの興味が自分から逸れた事に
桃子は内心ホッとしていた
そこに早苗が熱燗を持って
桃子の隣に座った
「楽しんでる?」
「ええもちろん!」
早苗は桃子にお酌しながら言った
「何もこんな時に言う事ではないのにね
麻紀も気がきかないわ 」
桃子も早苗に酌を返して言った
「でも
盛り上がってるからいいじゃない
実際あたしの誕生日なんかどうでも良い事だし
こっちの方がよっぽどおめでたいわ 」
この早苗とは今の病院に新人で
勤務を始めた頃からの同期で親友だ
彼女には何でも話せた
早苗は2年ほど前に幼馴染みと結婚し
今は看護婦の間でも婦長候補とみんなから
慕われていた
それに比べて自分は看護婦の中でも
桃子は正看護婦の指示を貰って
患者の世話をする准看護師だった
早苗に比べると
ただ働いている年数が長いだけの
あまりキャリアには繋がらないものだった
しかし何の責任もなく給料もシフトも
それなりに満足していたため
なんとなく最近ではズルズル
月日が流れていくだけだった
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