8373人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
第四話 すれ違い
高山桃子は朝自分の枕が涙で濡れているのに
ここ数日連続で目を覚ました
実際これほど心が痛むものだとは
想像もしていなかった
これまで生きてきて男女であんな愛し方があり
あれほどの強烈な感情を抱けるものなんて
知らなかった
美しい思い出がどっと呼び寄せる
彼の愛撫の一つひとつが
言葉の一言ひとことが
肌の味わいも
温かさも
男らしいにおいも
体のなめらかな感触も知っている
彼が絶頂をこらえた切ない顏も見たし
悦びの喘ぎ声も聞いた
ずっと恋焦がれていた
新藤修二という男を知ったのはいいが
あれは一夜だけのこと
それ以上求めることは許されない
自分は彼を深く愛してしまった・・・
叶えられない思いの苦悩が
ある上によく分からないが
別の感情が生まれているのにも気付いた
最初のコメントを投稿しよう!