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この祠には変な噂ばかりが囁かれている。黄昏時の祠に近づくと狐に連れていかれる、魔界への道が開かれるとか。そのせいか、気味悪がって誰も近寄らない。それでもーー無言のまま足を踏み入れ、祠を目指し歩いてゆく。 目的の祠に着くまでそんなに時間はかからず、とりあえず祠の周辺を探そうとした時だった。 「のう、そこの坊や何をしとるのじゃ?この祠へ立ち入る物好きなど、そうそうおらんぞ」 「……は?」 少女の姿をしたそれは不思議そうに祠の屋根から見下ろしていた。 金の瞳。白銀の髪に、緋色の蝶が舞った着物。
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