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どこからどう見ても人間の少女とは思えない容姿。どう言葉にすればいいか分からず、当たり障りのない言葉をかける。 「お前名前は?」 「自分から名乗るのが礼儀じゃぞ人間。まあよい。緋色、という」 緋色の蝶。 着物の蝶と同じ色の名。 ぶっきらぼうに答える。 「緋色、朱」 「あかの子……赤子か、ふふ」 「嫌味かよ」 「すまぬ。人の子と話すのは随分久しいのでな。それで、何故ゆえこの祠のある場所に入った?」 「……緋色の、チョウを探してる」 「緋色の和紙で折られた、これか?」 少女の手の中には緋色のチョウがあった、さっきまでなかったはずの。
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