多生の縁。

1/26
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ

多生の縁。

「誰か?いるのか?まさか・・七に・・」 一之進の表情が、一瞬で 険しくなった… 「おい!誰かいるのか?七に夜這いか? まさか・・七が、手込めにされたのか?」 真っ青の一之進。 顔を強ばらせ。歯ぎしりし、凛々しい顔が 苦痛で歪みながら、腰に下げている 刀に手を掛けた。 ガチャッ、、と、刀と鞘が擦れる音がした。 「一さま!!落ち着いて!! 七は、無事だよ!七と一緒に居るのは 辻斬りされた、夜鷹 親子の 弟だよ! 湯あみ させてるのさ、七が、その子は まだ幼い子供だよ! ねえ、あんた!一さまを止めてよ!」 かよが、怒り狂った、一之進の体に 抱きつきながら、六助に助けを求める 「旦那!!大丈夫だよ!七は誰にも 触れさせてやしないよ!一さま!!」 六助は、今にも刀を引きそうになっている 一之進の懐に飛び込み 一之進の手を、力一杯押さえ込んだ。 「あんた達も、手伝っておくれよ! 八吉!九太!十松!それと、熊吉ちゃん! 早く、旦那の手と肩を、押さえてよ!」
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!