~中編~

3/3
前へ
/15ページ
次へ
~銀時side~ 意識が戻った。今、俺はどこにいる? どこかの屋根の上だった 俺は葬式の列を見下ろしていた {アレハ貴様ノ葬式ダ} 「分かってっから…てめぇは黙ってろ」 自分自身に殺気を放つ そうすると{怖イ怖イ}と茶化すように厭魅は俺の体を動かした 俺の体は墓場に向かっていた 鉢合わせになるかもしれない 俺はググッと力を入れて抵抗する {…鬱陶シイコトヲ} 厭魅は俺の意識を内側に引き戻して、前に出る。そっからは、何も覚えていない 気がついたら俺の墓の後ろにある木の陰にいた。服が全体的に黒いので、まだ気がつかれていないようだ (「…ッッ?!!新八、神楽!!」) 守れていた 2人は凛々しく成長していた 良かった…本当に良かった {アレガ貴様ノ子ラカ}と厭魅はニタリと笑う。血の気が引いた __やめろやめろやめろ…! ___あいつらに手ェ出すんじゃねぇッ!! 俺の意思とは裏腹に、錫杖をシャランッと地につけた バッと2人は俺を見る すぐに武器を向けられた その瞬間にピクリと体が反応する 今なら動く! これが俺の最後の言葉かもしれない 「{生きてたなら良いさ オメェらありがとう 俺ァ本当に幸せだったよ}」 か細い声だったが彼らには届いた ありがとう、生きていてくれて 俺は錫杖を地につけて、2人に向けた 手が途端に震え出す 「{捕まえてみろ、この俺を… この厭魅を}」 俺はもう、二度と共に歩めない ごめんな こんな臆病でごめんな 気付かれずに気絶させた まだ体は動く 俺は2人に触れようとした 包帯だらけの自分の手を見て、すぐに引っ込める (「危なかった」) 守れたのに自分から壊すことにならずに済んだ すると後ろから何かが近づいてくる音がした そちらを向くと、定春が悲しそうな目をして俺を見ていた 匂いは誤魔化せないよ そう言っている気がした 俺は包帯の下で微笑んで、定春を撫でた 「あとはよろしくな」 「わふっ」 定春は首を横に振る 一緒に帰ろう。みんな悲しんでるよ 目でそう訴えていた __俺だって帰りてぇよ 叫びたかった。俺はグッと気持ちを抑えて、立ち上がりその場を後にする これで、 さよならだ
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加