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~銀時side~
意識が戻った。今、俺はどこにいる?
どこかの屋根の上だった
俺は葬式の列を見下ろしていた
{アレハ貴様ノ葬式ダ}
「分かってっから…てめぇは黙ってろ」
自分自身に殺気を放つ
そうすると{怖イ怖イ}と茶化すように厭魅は俺の体を動かした
俺の体は墓場に向かっていた
鉢合わせになるかもしれない
俺はググッと力を入れて抵抗する
{…鬱陶シイコトヲ}
厭魅は俺の意識を内側に引き戻して、前に出る。そっからは、何も覚えていない
気がついたら俺の墓の後ろにある木の陰にいた。服が全体的に黒いので、まだ気がつかれていないようだ
(「…ッッ?!!新八、神楽!!」)
守れていた
2人は凛々しく成長していた
良かった…本当に良かった
{アレガ貴様ノ子ラカ}と厭魅はニタリと笑う。血の気が引いた
__やめろやめろやめろ…!
___あいつらに手ェ出すんじゃねぇッ!!
俺の意思とは裏腹に、錫杖をシャランッと地につけた
バッと2人は俺を見る
すぐに武器を向けられた
その瞬間にピクリと体が反応する
今なら動く!
これが俺の最後の言葉かもしれない
「{生きてたなら良いさ
オメェらありがとう
俺ァ本当に幸せだったよ}」
か細い声だったが彼らには届いた
ありがとう、生きていてくれて
俺は錫杖を地につけて、2人に向けた
手が途端に震え出す
「{捕まえてみろ、この俺を…
この厭魅を}」
俺はもう、二度と共に歩めない
ごめんな
こんな臆病でごめんな
気付かれずに気絶させた
まだ体は動く
俺は2人に触れようとした
包帯だらけの自分の手を見て、すぐに引っ込める
(「危なかった」)
守れたのに自分から壊すことにならずに済んだ
すると後ろから何かが近づいてくる音がした
そちらを向くと、定春が悲しそうな目をして俺を見ていた
匂いは誤魔化せないよ
そう言っている気がした
俺は包帯の下で微笑んで、定春を撫でた
「あとはよろしくな」
「わふっ」
定春は首を横に振る
一緒に帰ろう。みんな悲しんでるよ
目でそう訴えていた
__俺だって帰りてぇよ
叫びたかった。俺はグッと気持ちを抑えて、立ち上がりその場を後にする
これで、
さよならだ
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