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次に受けた依頼は、初老のどこか品のある、優しく可愛らしい女性からだった。
昔を思い出して、ご主人と家とは別の外で待ち合わせをして、2人の思い出の場所をめぐるデートをしたいと。
しかし、その女性は膝が悪く杖をついて歩いていた。だから、時間通りに待ち合わせ場所に着けるか、不安なので私に依頼してきた。
私が待ち合わせ場所に着くと、既にご主人の姿があり、穏やかにじっと相手の到着を待っていた。
こういう時は、なんだか不思議な感覚だ。自分はご主人の待つ相手の代わりとして、既に隣に座っているのに、ご主人は私に気付かない。
しかし、依頼主の女性を待つご主人の顔は、とても穏やかで、そして幸せそうで、見ているこちらも温かい気持ちになった。
そして、待ち合わせ時間丁度に、ご主人は立ち上がり、小さく姿が見えた女性の元へと、やや急いで歩を進めた。
女性は、差し出されたご主人の手を取って、2人寄り添うように歩き出した。
こんな光景を見る度に、こんな優しく温かい気持ち
を感じる度に、『待ち人屋』になれたことを幸せに感じる事が出来た。
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