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アイリスの言葉を受けたミリアリアはそう言いながら魔導結界に覆われた牢屋に向けて駆け出し、アイリスはせの背中を愛しげに一瞥した後に凄絶な笑みを浮かべて結界周辺でもがく残党狩部隊の将兵目掛けて駆け出した。
駆け出したアイリスは瞬く間に将兵達と間の距離を詰め、指揮官は異様な雰囲気に振り返ろうとしたがアイリスは容赦無くその背中に大鎌を振るった。
振るわれた大鎌の刃は熱した刃がバターを切り裂く様に容易く軍装を纏う指揮官の上体を斜めに両断し、両断された指揮官は驚愕の面持ちを浮かべたまま崩れ落ちて地面に血溜まりを作る。
異様な雰囲気に気付いた残党狩部隊の兵士達が背後を振り返るとそこには血溜まりに濡れる二つに両断された指揮官の骸と大鎌を手に佇むアイリスの姿があり、異様な光景を目にした彼等が呆然とした表情を浮かべているとアイリスが冷たい微笑みと共に口を開く。
「……そんな所よりも良い逃げ場所があるわよ」
アイリスはそう言いながら手近な所にいた兵士に向けて大鎌を振るい、袈裟斬りにされた兵士の骸が崩れ落ちるのには目もくれずに言葉を続けた。
「冥界に逃げれば追われないわよ、あたしが案内してあげるわ」
アイリスはそう言うと冷たく微笑(わら)い、それを目にした兵士達の何人かが背筋に走る悪寒に突き動かされてアイリスに向けて槍を繰り出す。
繰り出された槍は佇むアイリスの魅惑的な肢体を貫いたかに見えたが次の瞬間には繰り出された槍の穂先同士が金属音を立てながら重なり合い、槍を繰り出した兵士達が怪訝そうな面持ちを浮かべていると重なりあった槍の穂先の上にアイリスが静かに降り立った。
「……サヨウナラ」
アイリスが冷たく言い放ちながら大鎌を一閃させると槍を繰り出した兵士達の首が斬り飛ばされて虚空を舞い、衝撃的な光景を目の当たりにした兵士達が恐怖の絶叫をあげながら地面にへたり込む中、アイリスは小さく跳躍して近くの地面に降り立った。
アイリスが地面に降り立つのとほぼ同時に首を喪った兵士達の胴体がゆっくりと地面に崩れ落ち、アイリスは見る間に大きくなっていく血溜まりを無視してへたり込んでしまった兵士達の所へ歩を進めた。
「……ばばばばば、ばけっばけっ……ばけものっ!!」
「……く、来るなっ来るなっ来るなっ来るなっ……来るなあぁぁぁっ!!!」
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