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「……あ、ああ、辛うじて、と言う所だが、それにしても、これは一体どう言う事なのだ、ミリアリア殿?」
「詳しくはこの場を脱出してから説明する、今は一刻も早く脱出しよう」
牢屋の中に飛び込んで来たミリアリアに声をかけられたミランダが戸惑いの表情でミリアリアを見ながら返答すると、ミリアリアはそれに応じながら首につけられた魔力封じの首輪を切る為のナイフを手渡し、ミランダが頷いた後に自分や女エルフ達の魔力封じの首輪を切り始めるのを確認した後にアイリーンに向けて丁寧に一礼した後に口を開く。
「リステバルス皇国第五皇女、アイリーン・ド・リステバルス様、旧ヴァイスブルク伯国軍第三騎士団長ミリアリア・フォン・ブラウワルトであります、皆様の救出に参りました、事態の詳しい説明につきましてはこの地を脱した後に行いますので、御同行願えないでしょうか?」
「……御恩情溢れる御言葉感謝致しますミリアリア様、私(わたくし)どもは既に覚悟を決めこれからどの様な事が起ころうとも従うつもりでおりました、その折にその願っても無い御言葉、否やも応もございません、貴女様の示した御恩情に縋らせて頂きます」
「ありがとうございます、アイリーン様、こちらをどうぞ、その醜悪な忌々しい軛を外して下さいませ」
アイリーンの答えを受けたミリアリアは安堵の表情で告げながらナイフを差し出し、クラリスは深々と一礼しながらそれを受け取った後にアイリーンの首にかけられた魔力封じの首輪を切り裂いた。
クラリスはアイリーンの魔力封じの首輪を切り裂いた後に侍女たちの魔力封じの首輪を切り裂き始め、アイリーンはその光景に安堵の表情を浮かべた後に表情を改めさつつミリアリアに問いかける。
「ミリアリア様、私どもは既に覚悟を決めております、ですから1つだけお教え下さい」
アイリーンの言葉を受けたミリアリアは真摯な表情で頷き、それを確認したアイリーンは骸と血溜まりの中で佇むアイリスを見ながら問いかけを続けた。
「……まるで白雪の様に白い肌にこの距離からでも克明に分かる美しき黒髪と蝙蝠の羽、女性であるので私の思い違いかも知れないのですがあの方は……」
「……はい、間違いございません、私も初めて逢った時は困惑と驚愕を隠せませんでした、あの女(ひと)は魔王、魔王アイリスです」
「……魔王、アイリス」
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