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『とりあえず手伝うね。』
『いいんですか!?』
『チョコのお礼。よし!さくさくやろう!』
注釈はほんとに的確で
普通にやれば1時間もかからない。
なんだかんだ、後輩思いなのかな。
『のじ先輩、ここの表なんですけど……』
『ん?どれどれ…』
『えッ!?本当か!?』
課長が受話器を持って興奮ぎみに立ち上がった。
フロアの皆が一斉に顔を上げた。
『おい!長峰がS社のコンペ獲ったぞ!』
フロアがどよめいた。
『おぉ!』
『マジか!!スゲェ!』
S社は超大手の化粧品会社。
契約は無理だと言われていたが
長峰さんのチームが見事契約を勝ち取った。
『すげぇ……長峰さん……』
隣に居た伊瀬君も目を輝かせて呟いた。
『俺もいつか、長峰さんみたいに……
なれたらいいな……とか言ってみたり……』
『なんで語尾弱々しいのよ!
なれたら~。じゃなくて、なる!でしょ。
ほら、長峰語通訳しといたから。
早く仕事、仕事!』
ほんとは全部やってあげた方が早いんだけど
なんとなくそれじゃ、長峰さんの意思とは違うような気がしたからあくまで私はサポート。
事務の仕事は簡単な資料作成と
コピーや電話対応のみ。
伊瀬君や坂井さんの仕事を見てると
営業の仕事は大変だけどやりがいはいっぱいあるんだろうなって思える。
『のじ先輩、出来ました!』
『はいはい。見せて?』
なんだかんだもう20時。
フロアには数名しか残ってない。
もちろん私以外は全員営業の男性社員。
見積書に目を通す。
うん。これならあの人も納得するかな……
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