高校時代

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私と学は使われてない多目的室に入った。 『やっぱり吉田さんと付き合ってたんだ』 『付き合ってない、とは言ってないよ。』 飄々と言ってのけた。 私は学の頬を平手打ちした。 『最低。』 『…………ふふッ』 『……なんで笑ってるの?』 『そもそも、俺があいに付き合おうって言ったのは丹波先輩の提案なんだよ。』 『はぁ!?どういう事!?』 『あいはバスケ部の先輩、いっぱいふったよね? たいした理由もなく ただめんどくさいから。』 確かにめんどくさいって気持ちは嘘じゃなかったけど。 『先輩達は俺があいと付き合って 最低な感じでふってやれってさ。 調子に乗ってる生意気な女に俺達の気持ちを思い知らせてやろうぜって。 本当はもっと引っ張るつもりだったのに。』 学は他人事みたいに笑った。 『あい、今どんな気分?』 『…………………本当に全部嘘なの?』 一緒に笑ったのも プレゼントをくれたのも 『嘘だよ。ごめんね。』 帰ってしまいたかったけど、鞄は教室だし しぶしぶ教室に戻ると 吉田さんは既に戻って来ていて 女子達に慰められていた。 そして私を犯罪者みたいな目で見た。 学は結局教室には戻って来なかった。 ずるい男。 もう何も信用出来ない。 翌日 私の机の中身は全部ゴミ箱に捨てられていた。 物を捨てられても、シカトされても ある程度は我慢できた。 学に裏切られていたのが一番悲しかった。 散々人の告白を蹴っておいて 本当に好きな人からは嘘をつかれてしまった。 本当に全部嘘だったの? 思い出すのは楽しかった事だけ。 涙を拭いながらゴミ箱から教科書を救出していると 『被害者面してんじゃねーよ』 と吉田さんの友達に言われた。 確かに、吉田さんから見たら 私は学の浮気相手。 責められても文句は言えない。
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