高校時代

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学はあれから学校に来たり来なかったり だけど、吉田さん達から水をぶっかけられた時 助けてくれた。 『ごめーん。わざとじゃないよー!』 キャハハと笑いながら 掃除用のバケツの水を私にぶっかける女子数名。 またか。 小学生かよ。 すると、男子がどよどよと騒ぎだした。 なに? ふと自分の姿を見下ろすと、ワイシャツが透けてブラが見えていた。 やば……着替えなきゃ…… しかし、ロッカーの前で立ち塞がる女子達。 『くだらねーな。』 学が遅刻して教室に入ってきた。 私をチラッと見ると、自分のブレザーを私に被せて肩を抱き寄せた。 『こんな事で喜んでんのかよ。童貞か。』 そう言うと保健室の前まで連れてきてくれた。 『……ブレザー。クリーニングして返すね。』 『いらねーよ。捨てといて。 悪かったな。』 そう言うと、さっさと帰ってしまった。 また……ありがとうって言えなかったな… これが学と話した最後。 そしてその年の年明け早々 学はバスケ部の先輩と警察沙汰の喧嘩をして 退学となった。 詳しくは分からないが先輩達も大学の内定が取り消されたらしい。 私も進級しクラスも変わり 先輩達も居なくなり 少しずつ平穏を取り戻したけど やっぱり吉田さんとは目が合うと 鋭く睨まれた。 すれ違い様に『死ね』って言われたり 物が無くなるのは卒業まで続いた。 そんな私の高校時代。 思い出したくもなかった。
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