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20時を過ぎたくらいに、長峰さんがフロアに戻ってきた。
『お帰りなさい!撮影は無事に出来ました?』
『ボチボチかな。
そんでお前はこんな時間に何やってンの?』
『坂井さんのお手伝いです!
事務処理は得意なんで。』
別に残ってまで今日やる必要は無いけど
プロジェクトチームで私だけ早く帰るのは気が引けて……
『ふーん……』
長峰さんはなんか元気ない。
考え事?
『あ、そういえば!
関さんから聞いたんですけど!
出演者の子役のユメちゃん。
吾妻さんと仲良しになったらしいじゃないですか!ユメちゃんのインスタグラムに吾妻さんが載ってましたよ!』
『へー…』
『吾妻さんちょうどユメちゃんと同じくらいの歳の妹さん居るみたいで、女の子の相手も
そつなくこなしちゃうみたいですね!
ほんと、私が行かなくて正解……』
『のじ。』
急に真剣な顔でこっちを見た。
『はい?』
『鈴木が、お前に謝りたいって。』
何も言えない。
学が?
今さら?
謝るって何を?
『話だけでも聞いてやれば?』
『………………嫌です。』
長峰さんはため息をついた。
それがなんだかショックだった。
『なんですか!私が悪いんですか!?』
『そうは言ってないだろ。
ただ、このまま逃げ続けててもお前自身…』
『長峰さんは何にも知らないんだから
勝手なこと言わないでください!』
言ってすぐに後悔した。
昨日の日向さんに言ってしまった事を
今日は長峰さんに言ってる。
私の事を心配してくれてるのに。
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