空回り

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『……野島さん、インフルエンザだったんですね。大変でしたね。』 『うん。ヘルプ先でもらっちゃって。 横田君も気をつけてね。』 『ありがとうございます…………………。』 横田君は黙ってしまった。 ……早く話を始めてくれないかな…… さりげなく時計をチラリ。 『野島さんは……彼氏さんと順調ですか?』 『えっ!?』 なんで急に? ビックリして顔を上げた。 そもそも、横田君に日向さんの話をしたっけ? あ、有加から聞いてるのか。 『まあ、今は少し思うところはあるけど… 順調だと思いたい………かな。』 なんだこの変な返事。 自分で言っといてなんだけど。 『色々……ですか』 横田君は少し躊躇ったけど、意を決した様に顔を上げると 『実はこの間……野島さんと駅で会った後 野島さんの彼氏さんが女性とホテル街に居るところを見ました。』 『……………え?』 何それ。 嫌だ……。心臓がドキドキする。 『それで……その女性なんですけど……』 『ちょっと待って!待って……』 頭が混乱して…… 日向さんは断ってくれたんだよね? どうして? 『野島さん…大丈夫ですか?』 『……ごめん。私、ちょっと行かなきゃ……』 横田君の返事を待たずに談話室を飛び出して 再び部長室の前に来ると 迷わずドアをノックした。
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