初めてのお仕事

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お茶を持ってフロアに戻ると、もう何人か出社していた。 来たひとから順番にデスクにお茶を置いていく。 『あれ?早いですね。』 長峰さんがもう来ていた。 『のじ、次のS社のミーティング お前も連れてくからな。』 『えっ?私はただの事務ですよ?』 『社会見学でもしとけ。』 長峰さんは今日は珍しくメガネをしてる。 『今日こそ、決めてやる。』 昨日練り直した企画は自信があるようだ。 5回も変更されたら、普通嫌になってもおかしくないのに。 こういうところは尊敬する。 『あ、せんぱーい。メガネ萌え作戦すか?』 『……おい伊瀬!!てめえ! なんだこの資料は!? 脳ミソ入ってんのか!?』 『……………………………。』 前言撤回。 尊敬とは無縁だった。 『あっれ? ミネっちが仕事で女の子連れてる~! めっずらしーい♪』 『はじめまして。事務の野島です。』 『どーも~。クリエイティブ課の関で~す』 チャラい感じのこの人が わが社のクリエイティブ課のエースの関さん。 茶髪にパーマで目を引くイケメン。 仕事の評価は高いが それ以上に変わり者で有名人。 女性社員の人気は長峰さんと二分する と、彩ちゃんが言ってた。 『おい、関。お前その格好で行くつもりか?』 長峰さんが訝しげに言った。 確かに。 一応ジャケットは着てるけど 中のシャツは小さい車のモチーフが散りばめられてるかわいいYシャツ。 そして下はアンクル丈のパンツ。 とてもクライアントに出向く格好ではない。 『大丈夫でしょ。 先方は俺の格好なんて見てないし。 じゃ、行こっか。』 長峰さんがでっかいため息を吐いた。 大丈夫……かな?こんなんで………
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