851人が本棚に入れています
本棚に追加
/479ページ
お茶を持ってフロアに戻ると、もう何人か出社していた。
来たひとから順番にデスクにお茶を置いていく。
『あれ?早いですね。』
長峰さんがもう来ていた。
『のじ、次のS社のミーティング
お前も連れてくからな。』
『えっ?私はただの事務ですよ?』
『社会見学でもしとけ。』
長峰さんは今日は珍しくメガネをしてる。
『今日こそ、決めてやる。』
昨日練り直した企画は自信があるようだ。
5回も変更されたら、普通嫌になってもおかしくないのに。
こういうところは尊敬する。
『あ、せんぱーい。メガネ萌え作戦すか?』
『……おい伊瀬!!てめえ!
なんだこの資料は!?
脳ミソ入ってんのか!?』
『……………………………。』
前言撤回。
尊敬とは無縁だった。
『あっれ?
ミネっちが仕事で女の子連れてる~!
めっずらしーい♪』
『はじめまして。事務の野島です。』
『どーも~。クリエイティブ課の関で~す』
チャラい感じのこの人が
わが社のクリエイティブ課のエースの関さん。
茶髪にパーマで目を引くイケメン。
仕事の評価は高いが
それ以上に変わり者で有名人。
女性社員の人気は長峰さんと二分する
と、彩ちゃんが言ってた。
『おい、関。お前その格好で行くつもりか?』
長峰さんが訝しげに言った。
確かに。
一応ジャケットは着てるけど
中のシャツは小さい車のモチーフが散りばめられてるかわいいYシャツ。
そして下はアンクル丈のパンツ。
とてもクライアントに出向く格好ではない。
『大丈夫でしょ。
先方は俺の格好なんて見てないし。
じゃ、行こっか。』
長峰さんがでっかいため息を吐いた。
大丈夫……かな?こんなんで………
最初のコメントを投稿しよう!