初めてのお仕事

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『あのお二人にですか?』 『え?あ、そうなんです。 多分まだ会社で煮詰まってると思うので。 私は事務しか出来ないから帰されてしまいましたけど。』 すると、佐野さんが申し訳なさそうに 『すみません… 何度もやり直しさせてしまって…』 『いえ。いい仕事の為には試行錯誤はつきものですし。佐野さんが謝る事では…』 『そうじゃないんですッ!』 訴えかける様な目で、佐野さんが語気を強めた。 『………す、すみません。私ったらつい…。』 『佐野さん。』 『ここは会社じゃ無いんですよ? 謝らないでください。』 『え?』 『私は佐野さんとご飯が食べたくてここに居るんです。 愚痴でも何でも。我慢しないで下さい。 あ、私の愚痴にも付き合って貰いますけど。』 私は手始めに日頃の長峰さんの傍若無人さを熱烈に佐野さんに話した。 『へぇ。意外です。 長峰さんってクールで完璧な人だと…』 『あ、それは完全なるソトヅラです。 あの人、仕事は出来るけど中身は中2です。』 『中2ですか』 『………中1かも。 でもやっぱ考える事とか大人な時もあるし ぶっちゃけよく分かりません。』 『あの…』 『はい?』 『変な事聞いてもいいですか?』 『どうぞ!』 『野島さんの会社の方は皆イケメンなんですか?』 『…………………はい?』 何をきいてんだ? 『いえ、だって…長峰さんも関さんも…… 最初見たとき… うちの広報部ザワザワしましたもん。 イケメン過ぎないか?って』 『……佐野さんって……かわいい!』 『え!?』 『あの二人がてっぺんですよ。多分。 ……あ、でももっと格好いい人がひとり……』 『え!?あれ以上?』 今日イチのテンションの佐野さん。 『うらやましいです…野島さんの会社が…』 『イヤイヤ、何をおっしゃいます。 天下のS社の広報部様が。』 『………うちの広報部なんて…今は………』 あ、沈んだ。 『野島さん。』 『はい』 『今度は私の愚痴を聞いてもらえますか?』 『はい。』 ここからが本題。
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