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『ほんとにうちでいいの?』
『日向さんの家のが広いし!』
年末年始は俺の家に泊まり込むらしい。
『実家には帰省しないの?』
『うーん。なんか飛行機のチケット取り忘れたし…日向さんも心配だから。』
『俺はついでだね。』
『違います!日向さんがメインな理由だもん!』
『はいはい。』
やっぱりあいのペースは落ち着く。
『日向さんは、実家には?』
『うちは…父親は俺が高校生の時に亡くなってるし。母親は介護施設に居るんだ。
正月だけは叔母さんの家に居るけど。
でも、もう俺の事は分からないみたい。』
『そうなんだ……』
聞いたことを後悔するような顔で
あいは相づちを打った。
そんな時、俺とあいの間に
白い雪が一粒
空からヒラヒラ落ちてきた。
『雪だ!』
二人同時に言った。
一瞬で、気まずい空気を消してくれた。
『初雪!』
『綺麗だね。』
嬉しそうにはしゃぐあいを
この先もずっと隣で見ていられると
このときは疑いもせずに思ってた。
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