不安

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今年初出勤。 課長のしまりのない挨拶から始まる。 昨日なかなか寝付けなかったせいで あくびの連続。 『少しは隠せよ。そのあくび。』 『長峰さんこそ、寝癖ありますよ!』 『これはこういう髪型なんです~。』 長峰さんは今年もこんな感じ。 大阪でのお礼……言いそびれちゃった。 仕事も新年会も 日向さんの事しか考えられなくて ずっと上の空。 きっと何でもないよ。大丈夫。 でも、何でもないのに紹介状なんか出される? ポジティブとネガティブの勢力争い。 疲れる。 検査の日が早く来てほしいような 来てほしくないような そして、ついに日向さんの検査の日。 『今日、日向部長休みなのなー?』 『…………………』 『おーい?』 『…………………』 『なんだよ。なんか連絡待ちなのかよ?』 『……えっ?なんですか?』 長峰さんが私の机の上のスマホを指さした。 『ずっと携帯気にしてんじゃん。』 『……………返事が……来なくて……』 朝、 『病院行ってきます』 とシンプルなメッセージ。 『連絡待ってます!』 と、返してからもう半日…… 『また、なんかあったのか?』 『…………………』 聞いてもらえたら、長峰さんの事だから 大丈夫だよ!って言ってくれそうだけど それ以上に、言葉にしたら 本当に病気になってしまいそうな気もして 『ま、言いたくなったら言えよ。』 『………はい!』
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