ハリケーン

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『のじ、大変だね。晶さんの教育係だなんて』 事務の女子数人で社食に来ると 早速晶さんの話題。 『でも晶さん真面目だし、覚えも早いし 大変ではないよ。』 『でもやりにくいでしょ?歳上だし。』 『常務の娘だしー。』 『……そりゃ……ちょっとは気にするけど…』 『だよねー!』 『ほんと、かわいそう!』 なんか、やだな。 晶さん自身には全く落ち度は無いのに… 私のやりにくさは、前に晶さんに説教しちゃったからだし… 『なに?何がかわいそうなの?』 私達のテーブルに営業の男性社員がやって来た。 その中には坂井さんと長峰さんの姿も。 『のじがかわいそうって話。』 『なんで?』 長峰さんが私の隣に食事のトレーを置いた。 『晶さんの事! 歳上だし、なんか注意したらすぐに常務に告げ口しそうじゃないですかー。』 『やりにくいよねーって話です。』 え……いや、そこは…… 『確かにな。』 『のじ、これをやろう。』 営業の先輩が何故か野菜の小鉢を1つくれた。 小鉢貰ったけど…… 『違うんですよ!晶さんはほんと真面目で…』 『それに引き換え 美咲ちゃんはかわいいよなー。』 あれ?話が美咲ちゃんに移ってしまった… 『わかる!癒される!』 『仕事出来なくても、居るだけでいい!』 営業の先輩達は盛り上がり 事務の女子達は冷めた目でそれを見る。 『男って単純ー』 『あんな見え見えなのに騙されて。』 『ほんとよ!』 そこへ、木村さんがイライラしながら合流してきた。 『お、木村!お疲れ~。美咲ちゃんは?』 『外のオシャレなカフェに行ってきまーす だそうよ。 って言うか居るだけでいい?癒される? 冗談じゃ無いわよ! 仕事教える方の身にもなれって話!』 『き、木村さん……落ち着いて……』 『あの子、全部仕事覚えないし こっちが真剣に教えてると 木村さんって何歳ですか~?30~? とか言ってくんの! はぁ?今それ関係ある!? つかまだ28だし!ふざけんな!小娘!』 『それは無いわー』 『木村、どんまーい!』 ケラケラと笑いが起きる。 なんか……嫌だな…… この空気……
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