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『正直、これだけじゃ加納さんに引っ込んで貰うには弱すぎます。』
カランとボイスレコーダーを爪で弾いた。
『加納サンと人事部長がつながってる限りはそうだよね~。』
『そうなんです!
攻めるところは人事部長!』
関さんはこういう事に慣れてるのか
話がスムーズ。
逆に長峰さんの頭の上には?マークが浮かんでる。
『勿論、表向きの材料として
このボイスレコーダーと合わせて提出する
パワハラの告発状と
加納さんの解任要求の署名を広報部全員分
来週のプレゼンまでに佐野さんに集めて貰う約束は取り付けました。』
『佐野さん?』
『プレゼンの前に怒鳴られてた佐野さんです』
『知り合いだったのか?』
『いえ?さっきご飯付き合って貰って。
仲良くなりましたけど。』
『すげーな…』
『難しい案件を通す時は
会食を交えて話した方が通りやすいって
…………とある人に教えて貰ってたので。』
『とある人?』
……ここはつっこまれたら長くなりそうだなぁ
『なので、長峰さん!お仕事です!』
『俺?』
『加納さんとホテルディナーしてください。』
『…………は?』
鞄からチケットを2枚取り出した。
ほんとはこれは日向さんと行こうと思ってたんだけど……仕方ない!
『なんとこちら!予約ですら半年待ち!
ホテル○○のディナーチケットです!』
『??』
『…………って!反応うっす!
どんな女性にも喜ばれること間違いなし!
これに週末、加納さんを誘って下さい!』
『はー!?なんで俺が!』
『そこで、加納さんから人事部長との関係を
うまーく聞き出して下さい!』
『うまーく………って…そんな無茶な……』
『加納さんの性格からすると
上手くのせれば絶対ボロが出ます!
頑張って下さい!長峰さん!』
『なるほど。不倫の事実を人事部長の奥さんに暴露して二人を破滅に追い込む訳か。』
『いや……関さん。
私そこまで鬼じゃありませんて。
奥様じゃなくて人事部長本人で十分かと…』
『えー?ぬるくなーい?』
『目的はあくまで安齋さんの不当な人事の撤回と、この企画の成功ですから!
それに私達はあくまでも他社の人間ですからね?あんまり首つっこまない方がいいですよ』
すでに片足はつっこんでるけど。
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