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こんなもんだろ。
いつの間にか関とのじの姿が無い。
『加納さん、そろそろ…』
『帰らないわよ?長峰くんもそのつもりでしょ?』
もう付き合ってやる理由もねーし……
どうするか…
ブブブブブッ
スマホが振動した。
関だ。
『電話?』
明らかに不機嫌な顔で聞いてきた。
『関ですね。少し失礼します。』
レストランの外に出た。
『ミネっち~。首尾はどう?』
『お前!ふざけてんのか!?
なんでのじと…』
『録音出来ましたか?長峰さん!』
関の奴………コロス。
『……出来たよ。』
『やった!お疲れ様です!
1階のラウンジで待ってますから
早く撤収してきて下さいね!』
『あぁ。』
のじの『待ってます』って言葉だけが妙に心地よくて。
自分でもよく分からない。
席に戻ると、少しふてくされた加納さんが
ワインをおかわりしていた。
『関くんはなんて?』
『次のプレゼンの映像が出来上がったから
確認してほしいそうです。
なので今日はこの辺で。』
『そんなもの、別に今じゃなくても。』
『すみません。
次のミーティングまで時間が無いので。
そろそろ納期も厳しくなってしまってますし』
『ふふ。そんなのは長峰くんの返事次第で解決するわよ?』
『加納さんに認めて貰える様なものを作るので。期待してて下さい。』
笑顔で手をさしのべると、しぶしぶワインを置いて立ち上がった。
『私への返事は?』
『それもミーティングの後に。
期待してて下さい。』
『わかったわ』
呼んでおいたタクシーに加納さんを乗せた。
『………はぁ………しんど。』
仕事より疲れる。
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