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『佐野さん、大丈夫?』
ハッと顔を上げると
心配そうに私を見る野島さん。
急いでイヤホンを外した。
『大丈夫ですか?』
『す、すみません。ちょっと驚いて………』
野島さんに日曜日のランチに誘われた。
野島さんが持ってきたボイスレコーダーには
夕べ長峰さんと食事に行った加納さんの音声が入っていた。
『全部わかってた事なのに
改めて聞くと……なんか……』
『やりきれない?』
『そうですね……なんでこんなに自分勝手に周りを振り回せるのか……
そのせいで安齋さんは……』
あんなに一生懸命やってた仕事を外されて
不名誉な噂で苦しめられて……
『!』
思わずギュッと握りしめてた私の拳の上に
野島さんがそっと手を添えた。
『野島………さん?』
『佐野さん、今まで辛かったね。
良く我慢したね。
もう大丈夫。』
ずっと我慢してた涙が
ボタボタと落ちた。
『私達で安齋さんを取り戻しましょう。』
『…………はい!』
大きく頷いた。
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