突然の…

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突然の…

大きな仕事を獲れば必然的に忙しくなるのは当たり前。 『み、ミネ…大丈夫か?』 坂井さんが長峰さんの肩を叩いた。 『よゆーだせ。』 目の下にはクマ。 顔色もよくないし。 当たり前か。 連日ミーティング、企画書作成、会議、修正 加えて夜は接待。 『ボロボロの癖に。』 『うっせぇぞ。のじ!』 『なぁ、ミネ。 S社以外の仕事、俺が引き取ろうか? お前はS社に集中した方が…』 『お前に残業させると 無駄に気ぃ使う奴が居るからな。』 チラっと私の方を見て 鼻で笑って言ってきた。 嫌味か。 『なんか のじ見てたら肉まん食べたくなってきた…』 『はぁ!?』 『買ってこようか?』 坂井さんは純粋なんです。 『じょーだんだよ。平気だっつの。 大阪支社に居たときは5撤とか平気でしてたし。』 そう言いながら、カフェイン入りの栄養ドリンクをイッキ飲みした。 『それに俺は……』 『長峰、ちょっといいか?』 課長が窓際の席から手招きしてる。 『なんすか?今納期ギリなんで。 どーでもいい話は勘弁ですよ。』 寝不足でいつも以上に失礼な態度。 『うん。それなんだが。 お前、今の仕事を全部ひとりで管理するのは無理だろう。S社も並行してやるとなると。』 『俺は、自分で獲った仕事は譲りませんよ。』 『そうも言ってられんだろう。 大手のS社を優先にしていかないと……』 『仕事にデカイも小さいも無いでしょ。 契約してくれた会社は、俺を信用してくれたんです。それを途中で投げ出す事は死んでもしません。』 課長は頭を抱えた。 『しかしなぁ……』 『話はそれだけすか?』 長峰さんは課長に背を向けた。 『じゃあ、補佐をつける!』 課長が思い付いたように叫んだ。
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