突然の別れ

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突然の別れ

試写はD社の小さいホールで行う。 映画館の様な作りのホールには 結城さんを始め、広報部。 更に上層部の方々。 撮影監督と関係者。そして出演者と私達。 結構な人数で、始まる前からドキドキした。 学は今日は居なかった。 『長峰さん!』 リナさんが早々に長峰さんを見つけて 長峰さんの隣の席を確保していた。 うーわー。長峰さん、顔こわッ。 でもそれを全く気にしないリナさん。 『お待たせ致しました。これより試写に移らせていただきます。』 日向さんが挨拶し、部屋は暗くなる。 さすがにリナさんも黙ってスクリーンを見つめた。 最初はメインのロングバージョン。 続いてショートバージョンも5つ。 編集の段階で何百回と見た映像だけど 思わず感動してしまい、泣きそうだったのでごまかす為に周りを見ると 後方の席に座っていた結城さんと目が合い お互い目に涙を溜めているのに気付いて 小さく笑ってしまった。 『試写は以上になりますが。 いかがでしょうか?』 すると、結城さんが立ち上がり 『とても満足の行く仕上がりで嬉しく思います。これで行きましょう!』 『お疲れ様でしたー!』 D社の方々から思わぬ拍手が沸いて 日向さんはほっとした顔で笑い 長峰さんと関さんは小さくグータッチしてた。 私は…と言うと 『はい。野島さん。』 『あ、ありがとございますぅ……』 吾妻さんからティッシュを貰っていた。 試写は我慢できたのに 不意討ちの労いはダメ!絶対! 最後にボロボロと泣いて プロジェクトチームの仕事は終わった。
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