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入院
出社時間が近づき、みんな続々と出社してくる。
『おはよーございます。あれ?ねーさん徹夜?』
『顔死んでる。』
『は、はぁ?失礼ね!』
いけない、いけない。
しっかり切り替えなきゃ!
パチパチと頬を叩いた。
『あ、日向さん!おはようございます!』
ドキッとした。
『おはよう。』
背中で聞こえる凛とした声に、心臓のドキドキは早まる。
日向さんの登場でフロアは一気に活気づいた。
みんな日向さんを囲んで、プレゼンに向けて士気を高めてる。
それを遠くから眺める私。
あの人は、優しい顔をしながら
目的達成のためには手段を選ばない人。
東京には可愛い彼女もいて
今日が終われば帰ってしまう人。
このくらいの距離があってる。
その時、みんなに囲まれてる日向さんと偶然目が合った。
『水無瀬さん、大丈夫っすか?』
いつの間にか隣にいる水田君。
『…ダメかも。』
だって日向さんは笑うんだ。
恨まれてるかもしれない私に。
一瞬で好きになったあの笑い方と同じ顔で。
好きにならないなんて
無理。
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