選んだ道

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選んだ道

『あれ?日向さん? 今日休みじゃなかったでしたっけ?』 夕方に、有給を取ってたはずの日向部長と廊下ですれ違った。 『吾妻、お疲れ様。 ちょっと鬼島本部長に話があってね。』 『そうなんですか。 あ、今会議室空いたんで。使って下さい。 今鬼島本部長呼びますので。』 『ありがとう。』 鬼島本部長に、日向さんが来たことを伝えると 元々怖い顔がより一層渋くなり 無言で会議室に入って行った。 何の話だろう。 会議室からフロアに戻る途中の給湯室で 野島さんの姿を見かけた。 野島さんはぼんやりと、沸騰しているやかんを眺めていた。 『……野島さん?どうかしたんですか?』 『え?あっ!すみません! 今、お茶持っていきますから!』 あわててやかんに伸ばした野島さんの手が 思いっきりやかんの側面に触れた 『あっつ!!』 その衝撃でやかんは倒れ 熱湯を床にぶちまけた。 バシャッ………カーンッ 『えっ……だッ大丈夫ですか!?』 『あっ……はい!大丈夫……え?吾妻さん?』 『お湯、かかりましたよね!? 早く水で冷やさないと!!』 野島さんの腕を掴んで急いでシンクの水を勢い良くかけた。 冷やしながら見た限り 赤く腫れて、水膨れができそうだった。 『病院……行きましょう。すぐに…』 『病院……………………病院はイヤ!!』 勢い良く却下された。 『………あっ……すみません!違うんです! ほんと、大したことないから…… 大丈夫なんです!』 この様子は……大丈夫じゃないと思うけど… その時、ダダダッと廊下を駆ける音。 『どうしたぁ!?』 『ゲッ……鬼島本部長……』 と、その後ろに日向部長も。
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