作戦会議

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作戦会議

『野島さんはコンペの後に、弊社の担当者が変更になった点はご存じですか?』 『あ、はい。』 給湯室で坂井さんから聞きました。 『加納主任の前の担当者は安齋という人なんですが……』 『……何かあったんですか?』 『実は加納主任へのセクハラ疑惑で… 広報部から総務課へ異動してしまって…』 えっ? 『(あの)加納さんに!? (セクハラ)ですか!?』 『………そう思われるのも十分理解してます。 普通、あり得ないですよね? あんな厚化粧の年増な女の人に……って。』 いやいや。 私はそこまで言ってないよ? 『その……セクハラの事実はあるんですか? もしかして常日頃そういう感じの方とかでは…?』 『それは絶対あり得ません!』 ハッキリと佐野さんは否定した。 『加納さんと違って! 安齋さんは皆から慕われてて! 仕事も早くて正確だし……何より…』 『な、何より?』 『とっても綺麗な彼女が秘書課に居ますから 加納さんに手を出すほど飢えてません!』 『そっちかい!』 思わず突っ込んだ。 『ゴホン。話を戻しましょう。 えっと…そのセクハラ問題なんですが。 何か証拠となる物は?』 『ありません。 加納さんの証言だけです。 勿論、安齋さんは全否定しましたけど。』 はぁ!? 『そんな証拠も無いのに異動だなんて 酷すぎませんか?』 『それは……』 佐野さんが声のトーンを下げた。 『?』 『これも噂ですが…加納さんと人事部長は 昔から付き合ってるみたいで… 今は人事部長は結婚されてますから… いわゆる不倫……ですが…』 なーるほど。 『でも、これは不当人事ですよ! 弁護士さんに相談してもいいレベルの!』 『私も広報部の皆もそう言いました。 でも安齋さんは……』 佐野さんの目には涙がたまってる。
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