未来のこと

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未来のこと

薬局でやけどの薬を受け取り その帰り道。 『はぁ…ほんと、心配だよ。 こんなやけどしちゃって。 何をぼんやりしてたの?』 日向さんが私の右手を見ながらため息を吐いた。 主に、あなたの事しか考えてませんけどね。 『もう大丈夫ですよー! それより、独立するってことは 日向さんの会社を作るって事ですよね? いつから考えてたんですか?』 うーん……と考えて。 『菊川常務にお見合い持ちかけられたあたりかな?』 『お見合い…そんなに圧力が?』 『って言うより。本社に戻ってきて 改めて仕事楽しいな。って思って。 長峰君や関君と仕事できて、刺激になったし』 確かに、楽しそうだった。 ほんの数ヵ月前なのに すごい昔に感じる。 『ただ、楽しく仕事したいだけなのに 上から余計な条件つけられるのが馬鹿馬鹿しくなったんだ。』 日向さんが会社をやめてしまったら もうチームで働く事はないのか… あ、でも……? 『あのぉ……』 『ん?』 『日向さんの会社に…… 私も入れて貰えますか?』 『あはは。無理。』 笑い飛ばされてた。 『な、なんで!?』 『会社って、今の会社みたいなの想像してるでしょ。』 む? 『個人で立ち上げるんだから。 事務要員を雇ってる余裕なんてないよ。 全部一通りの仕事が出来る人じゃないと。』 『全部……一通りって。』 事務仕事も、営業の仕事も、プランナーも? 『そんな人! 日向さん以外に居るんですか!?』 『うん。最近いいな、って人 ひとり見つけた。』 なぁーにぃ~? 『私、諦めません!頑張りますから!』 『え?』 絶対、二人目に滑り込んでやる!
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