ハリケーン

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ハリケーン

送別会が終わると、すぐに4月。 営業1部は鬼島本部長のもと 新体制に変わった。 何が変わるって…… 新入社員。 今年の注目は晶さんと美咲ちゃんと言う子だった。 晶さんと言えば、忘れてしまいたい人物ナンバーワンの 菊川常務の娘。日向さんの元お見合い相手。 私が啖呵きってしまった相手である。 何故か中途入社という形で入ってきた。 しかも、私が教育係…… そんな感じで、私の転属願いは来期に持ち越し トホホ。 『菊川晶です。よろしく御願い致します。』 余計なセリフは一切省き、頭を下げた。 対照的に 『中原美咲です! 趣味は料理で、今は彼氏いませーん! 分からないことも多いと思いますが よろしくお願いしまぁす!』 綺麗に巻いた髪の毛をふんわりゆらして かわいらしい笑顔で挨拶した。 フロアにいた男性社員から歓声が沸いた。 美咲ちゃんの教育係は木村さんに決まった。 『野島さん、すみません。 ここのやり方を教えて頂けますか?』 晶さんが質問に来た。 晶さんとさ以前やりあったはずなのに そんな事なかったかのように仕事をしてる。 見た目だって、前は美咲ちゃんの様に髪も巻いてたし、爪もキラキラしてたのに 今は髪を1つにくくり、爪もシンプル。 ……どうしちゃったの? 『あの?』 『あ、はい!ここはですねー……』 とにかく仕事、仕事! 私は今は教育係なんだから! 『わかりました。ありがとうございます。』 ペコリと頭を下げると、向かいの席に戻り 今教えた事を綺麗な字でメモ帳に書いていく。 『……なにか?』 『えっ……いや、その…偉いなって… ちゃんとメモしてて。』 怪訝な顔をされてしまった。 『当然の事だと思いますけど。』 そしてまた、メモに戻る。 で、ですよね~ ど、どうしよう……心、折れそう……
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